イギリスの私立中学受験と音楽の関係。
イギリスは現在中学受験シーズン真っ只中。
日本は今どうだかわかりませんが、イギリスではもう年々中学受験戦争が過熱しております。
受験年齢は日本より数年早くて、9歳か10歳かな。どの中学に行くかでその後の人生が大きく左右されるので、皆さん必死になるわけです。
うち子供がいないのであまり詳しくはないのですが、イギリスの中学は大雑把に分けて3種類あるらしく、
1. グラマースクールと呼ばれる公立中学。公立にもかかわらず入試で生徒を選抜するのでとんでもなくレベルが高い。学校自体数が少ないので入るのすごく大変。でも公立だから学費は無料。すごく人気がある。
2. 私立中学。レベルは高め。イギリスの私立は学費が高くて、年間で日本円で200万くらい。でも高いだけあって生徒へのケアも施設も充実していて、かなり質のよい教育が期待できる。
3. 普通の公立中学。もちろん学費無料。入試はないのでその地域に住んでる子だったら誰でも入れる。ただし地区を選ばないと、学校によっては学級崩壊してたりしてえらい目にあう。そのためにいい地区へ引っ越ししようとする人続出。
・・・中学受験とピアノのお稽古と何の関係があるの?って話ですが、ちょっとあるんですね。
それはうちの近所だと、2番の私立中学ですね。
学費がものすごく高いので、ほとんどの皆さんがあるものを狙うのです。それは、
奨学金。
私立中学ではたいてい、お勉強、スポーツ、音楽、美術のどれかに優れている子数人に奨学金が出るんですね。入試に受かった後、候補になった子達は呼び出されてオーディションを受けるんですな。オーディションにパスしたら学費を20%とか、優秀な子だったら50%くらい免除してくれるので、学費の200万が100万になるかも!となったら、そりゃ申し込みたくなりますよねえ。
うちにお稽古に来る生徒ちゃんでも、7歳の子が「僕音楽で奨学金を狙ってる」って言ったり、5歳の子のお母さんが「奨学金をもらうには今から頑張らなきゃダメなの!」と子供に言ったりしてひぇーーーってなることが多いです。
わたひはふとしたきっかけで、奨学金希望の生徒ちゃんのお稽古することになったんですけど、奨学金のためのお稽古って何だかなーと思いますよ。
一応中学受験の9歳(or 10歳)までにこれこれが弾けるレベルまで何とか持って行って、これこれのグレード試験に最上級の成績で合格させて、さらにコンテストに出して賞を取らせて箔をつけて、って感じで。
だいたい子供なんて10歳過ぎてから伸びる子も多いのに、9歳までに促成栽培しなきゃいけないって何なのかと。もうビニールハウスに生徒入れて、肥料と水バンバン与えて無理やり電気の光当てて育ててる気分になりますわ。
音楽が好きとかピアノ弾くの好きとか、そういうの全部吹っ飛ばして、学費割引のためだけにピアノを弾かせるという(笑)。
まあ生徒ちゃんは今週、めでたく2つの学校から奨学金オーディションの呼び出しを受けて、とりあえず無事受けてきたそうです。
生徒ちゃんがよい中学教育を受けられるように協力したと言えば聞こえはいいですが。
でもこういうお稽古はできればもうやりたくないわーーー。